65五蘊皆空とはどういうことでしょうか。
 五蘊の中の、色蘊が分からないのです。蘊とは、人間がそのように思いこんでいること、色とは、現象的に存在するものです。現象的に存在するものには、色がないかもしれませんが、大空には色があります。すべて、物質的現象には、色があると、般若心経は言っています。色があるものを、存在すると、人間は考えています。これを、色蘊といっているのです。受想行識が、現在の人間の、世界観、価値観をつくつているのです。これは、現世での認識としてはいいのですが、永遠に通用するものではないのです。
 目で見ていると、人間は考えていますが、人間の目は、見ることはできないのです。光線の反射が、目に映っているだけのことなのです。これを、見ていると、人間は考えているのです。こういう間違いを、人間はしているのです。
 人間が現世に生きている常識の基礎は、非常に間違っているのです。根本から間違っているのです。この世に生まれたことは、業を背負ったことなのです。人間が現世星きていることが、業なのです。この世に生まれてきたことが、業を背負わされたことなのです。

 ライオンの子が、谷底へ落とされたようなものです。谷底からはい上がる強堅な子だけを、ライオンは育てるというたとえ話がありますが、神がそれをしているのです。
 神は、人間を、業の谷間へけ落したのです。人は、この世に生まれたという形で、肉の世界へ、け落されたのです。
 はっきり言いますと、人間の常識は、悪魔の意識なのです。悪魔の意識から、はい出すことができるかどうか、はい出るだけの能力があるかどうかを、テストされているのです。このテストに合格すれば、永遠の命が与えられるのです。
 固有名詞をもって、肉体があると考えていれば、人間は、必ず死にます。人間は、主観意識に基づいて、生きている。これが間違っているのです。
 この世界で正しいものは、五官の働きです。甘いものは、誰でも甘いと感じます。そのように、五官の意識は、全世界共通の意識なのです。だから、黒人と白人とが、結婚できるのです。つまり、五官は、世界に一つしかないのです。
 そうしますと、人間の人格は、世界に一つしかないはずです。それを、63億もあるように、人間は考えているのです。これは、全く愚かな話です。命は、自分のものだと考えこんでいるのです。これは、救いがたい迷妄です。だから、死ななければならない自分を、捨ててしまえばいいのです。
 捨てるとはどうすればいいのか。色即是空を、体得すればいいのです。五蘊皆空でいいのです。自分の思いが、自分を不幸にしているのですから、それを捨てればいいのです。そうすれば、主観的な認識は消えるのです。そうすると、死なない、本当の命が分かるのです。




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