47釈尊が見た明けの明星は、何を意味しているのでしょうか。

現在の人間社会は、死ぬ命を命だと思いこんでいる。根本的な誤解を信じているのです。
 これが現代の世界観であり、宗教観であり、価値観です。現在生きている人間が、本当の人間だと思っているのです。
 しかし、これは死ぬにきまっている人間です。何のために生きているのか、分からないで生きている人間なのです。これは本当の人間ではないのです。
 釈尊が見た明けの明星は、やがて新しい太陽が現れること、つまり、新しい人間としての見解が、全世界に明示されることを見たのです。
 現在生きている人間は、仮に生きているのであって、本当に生きているのではない。これが釈尊の悟りの本質なのです。一切空というのはこれなのです。
 人間が生きていることが空であるだけではなくて、地球が存在することが空なのです。例えば、現在の理論物理の概念で申しますと、物質は存在していないのです。ただ物理運動があるだけなのだということになるのです。これは、現在の科学の常識なのです。
 原子爆弾ができるということは、物質が存在しないということが証明されているのであって、もし物質が存在しているなら、原子爆弾や水素爆弾はできないはずなのです。
 釈尊は一切空と概念として言ったのですが、現在では、科学の基礎的な概念から言っても、物質や物体は存在していないのです。従って、ありもしないような世界、ありもしないような物質の状態を、私達は見ているのです。だから、一切空になるのは当然なのです。
 釈尊が見た明けの明星というのは、来たるべき新しい世界の本体を直感したのです。そこで、華厳経というとんでもない難しいお経を説いたのですが、その意味が未だに分からないようです。これが釈尊の新しい世界に対する見解でしょう。
 あまり華厳経が難しいので、次に阿含経を説いたといわれています。非常に難しいものから、非常にやさしいものに転向したのです。これが釈尊の最初の姿勢であったのです。
 そのように、現在の人間は死んでしまうにきまっている人間なのです。現在の地球は、遅かれ早かれ、消えてしまうにきまっているのです。物理運動として地球は存在しているが、物理運動の原理が変化すると、地球は消えてしまいます。その後に、本当の天と本当の地が現れてきます。
 釈尊は明けの明星によって、未来を見たのです。




[PR]動画