40仏典の中に相当聖書の思想が入っていると言われますが、どうでしょうか。
 ざっと申しますと、仏教には第一結集と、第二結集とがありまして、第一結集と言うのは主として小乗仏教です。釈尊入滅後、二百年から二百五十年位の間に、経典が結集されました。ミャンマーやタイの仏教はこの流れらしいのです。
 大乗仏教は、釈尊入滅後、五百五十年から六百年後に、アショカ王によって結集されたものですが、大乗仏教の中にはキリスト教の教義によく似た説がたくさんあるのです。仏説阿弥陀経、大無量寿経等は、聖書そっくりなのです。特に新約聖書ヨハネによる福音書第一章に、非常によく似ているのです。第二結集の立役者になった人は、竜樹です。この人が食わせ物で、素晴らしく頭の良い男でした。頭が良かっただけに、あやしい面があるのです。
 釈尊が生れたのは、紀元前五百年頃だと言われています。第二結集は、紀元後百年か百五十年位になります。本当に第二結集がされたのは、百五十年頃だと思われますが、その時代は、イエスの弟子達がすでに伝道していたか、イエスの孫弟子達がインド方面に伝道していたのです。その人々と竜樹が接触したに決まっているのです。
 ある説によりますと、竜樹がヒマラヤ方面で、素晴らしい碩学に出会った。その碩学に重大なメッセージをもらって、それを基礎にして大乗仏教を編集したという伝説もありますが、その素晴らしい碩学が、イエスの孫弟子の人々ではなかったかと思えるのです。
 そういうわけでありまして、大乗仏教の中には、新約聖書の哲学思想がたくさんあります。しかし、仏教の教義は抽象人格ばかりです。阿弥陀如来、大日如来、観世音菩薩といっても、皆抽象人格で、歴史的人物ではありませんから、命の実体ではなくて、概念を伝えているのです。

[PR]動画